棚卸とは?目的や重要性、注意するポイントを解説棚卸
商品や製品など、在庫を抱えている企業は定期的に棚卸を行なう必要があります。棚卸は時間がかかる業務ですが、実施することでその後の企業活動に役立ちます。
今回は棚卸の目的や重要性、注意すべきポイントを解説します。
棚卸とは
企業には決算が設定されていて、決算期の末日に行なわれるのが棚卸です。
棚卸で商品や製品、材料などの在庫数と品質をチェックして、期末棚卸資産を確定させます。期末棚卸資産が確定することで、企業がどれだけの利益を得たかを正しく計算できます。
棚卸の目的と重要性
棚卸を実施する目的は、大きく次の4つです。
● 正確な利益計算
● 適切な在庫管理
● 販売機会の損失防止
● 決裁書の作成
正確な利益計算
棚卸は企業が正確な利益を計算するうえで必要な業務です。例えばAという商品を1個300円で50個仕入れて、1個600円で売った場合で考えてみましょう。すべて在庫がない状態であれば、次のようになります。
● 売上総利益:(600-300)×50=15,000円
しかし、実際には在庫が発生しているケースが大いに考えられます。例えば20個在庫が残ってしまったのであれば、次のように計算します。
● 売上総利益:18,000円(売上総額)-(15,000円(仕入総額)-6,000円(在庫))=9,000円
50個すべて販売した場合の売上総利益は15,000円ですが、20個在庫が発生した場合の売上総利益は9,000円と、両者を比較すると6,000円も差が出ています。このように、正確な利益を計算するためには、棚卸の実施が欠かせません。
適切な在庫管理
正確な利益を計算すると同時に、帳簿に記載された理論在庫と実在庫に差がないかを確認することも目的です。
在庫は紙やエクセルで管理しているケースもいまだに多いため、どこかでミスが発生している可能性があります。そのため、棚卸のタイミングで理論在庫と実在庫を合わせる必要があります。
また、棚卸は滞留している在庫や倉庫に残ったままの不良在庫を洗い出せるため、商品の動きを把握するうえでも効果的です。
販売機会の損失防止
棚卸を定期的に実施することで在庫管理を適切に行なえるため、販売機会の損失を防止できます。
棚卸をせずに在庫状況を確認していないと、受注があっても、抱えている在庫が長期の保管で劣化してしまっている可能性が考えられます。結果として販売ができなくなってしまうので、販売機会損失につながりかねません。
決裁書の作成
期末を終えたら1年以内に決裁書を作成する必要があります。
決裁書には、企業の資産や負債などを記載します。これらを記載するためには、棚卸をしてどれだけの在庫や資産があるかを確認しておかなければなりません。
持出・返却管理システム『タグマッチ』はICタグを用いて、棚卸の効率化につなげます。『タグマッチ』について詳しくは以下をご確認ください。
棚卸の実施方法
企業が正確な利益、在庫状況を把握するために欠かせない棚卸ですが、実施方法は次の2つです。
● タグ方式
● リスト方式
タグ方式はタグ(荷札)を用いる方法なのに対して、リスト方式は在庫管理表などで在庫数を確認した後にチェックする方法です。
タグ方式
タグ方式は商品をカウントした後に、タグに商品の数量や品目を記載します。記載したタグは在庫を保管している棚に貼り付けます。その後、理論上の在庫と比較、照合が行なわれます。
タグ方式は実際の在庫から数えていくため、在庫の計上漏れが発生しづらいという点がメリットです。一方でタグの管理をはじめ、負担が多く発生してしまうというデメリットもあります。
リスト方式
リスト方式は在庫管理表をはじめとしたリストに記載された理論在庫を基に計算します。理論在庫を基に実在庫をカウントしていくため、短時間で終わる傾向にあるというメリットがあります。しかし、リストに網羅されていない商品などのカウント漏れが発生する可能性が高いでしょう。
棚卸在庫の評価方法
棚卸は完了後に評価額の計算が行なわれます。在庫品を決算時に計上するためには、評価額の計算が欠かせません。評価額の計算は原価法と低価法に大別可能です。
原価法
原価法は在庫を仕入れる際に取引先にいくら支払ったか(取得価額)を基に、在庫金額を評価する方法です。取得価額を求める方法は次の6つです。
● 個別法:それぞれの在庫の仕入れ時の価格から評価する方法
● 先入先出法:期末にもっとも近い時期に仕入れた在庫から払い出しを行うと想定して原価を算出する方法
● 総平均法:期首の取得価額に期中に仕入れた在庫の取得価額を加算してから、在庫の総数で割って算出する方法
● 売価還元法:似た商品をグループとして、期末時点の総販売額に原価率をかけて算出する方法
● 移動平均法:仕入れの度にその時点の在庫状況に応じて棚卸し資産を再計算する方法
● 最終仕入原価法:期末にもっとも近い仕入金額を取得金額とする方法
低価法
低価法は原価法で求めた評価額と期末時点の時価を比較して、低い金額を活用する手法です。低価法を用いることで、時価が変動したことによる影響を正確に把握できます。
だし、低価法を採用するには、次の年度の期首に振り戻しを行なわなければなりません。
棚卸で注意するポイント
数え間違い、入力ミス
棚卸は人が行なうため、数え間違いや数量の入力ミスが発生する可能性はつきものです。そのため、あらかじめ数え間違いや入力ミスの発生件数を減らすような工夫を施しておきましょう。例えば、日頃から整理整頓を行なって棚卸時に不明な在庫が出ないようにする、ダブルチェックを実施するといった工夫が挙げられます。
ルールの制定
棚卸ではルールを事前に制定しておく必要があります。棚卸は複数人で実施することが一般的なため、在庫数の記入法をはじめとしてルールを制定しておかないと、担当者によって記入方法が異なってしまいます。また、イレギュラーな事態への対応方法も決めておきましょう。
棚卸し表は最低7年間保存
棚卸の結果が記載された棚卸表は7年間保存することが義務付けられています。そのため、破損や紛失には注意しましょう。
また、平成30年4月1日以降に欠損金額が発生した場合、棚卸表を10年保存しなければなりません。
品質状態も確認
棚卸では在庫数だけを確認するのではなく、在庫品の品質も確認しましょう。長期にわたって売れていない在庫は破損や劣化によって販売できない可能性があります。棚卸にて販売が難しいと判断された在庫は、損金として経理処理可能です。
まとめ:ICタグで棚卸を効率化!
棚卸は手作業やExcelで管理すると、時間がかかってしまううえに、ミスの発生も防ぎづらくなってしまいます。一方、専用の管理システムを導入して棚卸の効率化が実現可能です。
例えばICタグを用いることで「何がいつどうなったか」を簡単に管理できます。ICタグを使った持出・返却管理システム『タグマッチ』はシンプルな操作で、これまで棚卸にかかっていた時間の削減につなげます。ぜひタグマッチの導入を検討してみてください。
執筆者情報
キャビマッチ運営チーム
キャビネット貸出管理システムCABIMATCHが運営するブログです。キャビマッチに関する情報を更新してまいります。