RFIDとは?読み方からICタグの役割と仕組みまでわかりやすく解説RFID
RFIDとは、電磁波を用いてICタグに格納された情報の読み取りや書き換えができる技術です。離れた場所から一括で情報を読み込むことができるため、在庫管理業務の効率化などに活用されています。
今回は、RFIDの仕組みや活用事例まで詳しく解説します。
RFIDとは?
RFIDとは「Radio Frequency Identification」の略称で、「アールエフアイディー」と読みます。
電磁波を用いてICタグに記載されたデータをリーダライタと呼ばれる端末で読み取りする仕組みの総称です。
RFIDは、物流センターでの在庫管理をはじめ、無人レジなどで活用されています。
RFIDの仕組み・導入に必要なもの
RFIDはリーダライタのアンテナから情報を電波に乗せて発信し、それを受信したICタグに電力が発生することで必要な処理を行います。
それらで収集したデータを、リーダライタに返信するという仕組みです。
RFIDを導入する際は、電波で内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする「RFタグ」と「リーダライタ」、これらの情報を確認したり更新したりするための「アプリケーション」の3点が必要となります。
RFIDとバーコード/QRコードの違い
非接触でデータをやり取りする技術としては、RFID以外にもバーコードやQRコードなどがあります。
バーコードやQRコードとRFIDとの主な違いは、次の3点です。
通信距離
通信距離とは、データを読み取るために必要なリーダライタとタグやコードの間の距離のことです。
RFIDは、パッシブ型のHF帯(短波帯)では最大数10センチメートル、UHF帯(極超短波)では最大6メートル、アクティブ型では最大10メートルの通信距離があります。
一方、バーコードやQRコードは数センチメートルしか通信距離がありません。
そのため、RFIDはリーダライタを近づける必要がなく、障害物があっても読み取ることができます。
データ量
データ量とは、タグやコードに記録できる情報の量のことです。
RFIDは、半角で数千字のデータを記録できます。
一方、バーコードは20文字程度、QRコードは7,089字が限界です。
つまり、RFIDでは、より多くの情報をやり取りできるということです。
書き換えの可否
書き換えの可否とは、タグやコードに記録された情報を変更できるかどうかのことです。
RFIDは、チップによって異なりますが、10万回や10億回などという書き換えが可能です。
一方、バーコードやQRコードは読み取り専用で、書き換えができません。
この点でも、RFIDにはデータの更新や追加が可能であるという優位性があります。
RFIDの種類
RFIDは複数種類があり、用途や目的によって使い分けられています。
現在、広く運用されているのはバッテリーが内蔵されていない「パッシブタグ」と呼ばれるタグです。この「パッシブタグ」は、受信した電波を電力に変換して情報処理を行っており、倉庫の在庫管理などで応用されています。
また、バッテリーを内蔵したタイプの「アクティブタグ」は温度センサーと連動させ、スーパーマーケット等で食品の鮮度管理に用いられています。
他にも、対象物の位置を正確に検知できる「セミアクティブタグ」は、レースでのタイム計測や子供の見守り管理の場面で役立っています。
通信方式
RFIDは二つの通信方式があり、特性にあった場面で使用されています。
「電磁誘導方式」は通信速度が比較的遅く、自動車のキーレスエントリーや電子マネーで広く用いられています。
「電波方式」は通信速度が早く長いのが特徴です。
数メートルから数十メートルまで通信が可能で、国際線のコンテナ管理など大規模な施設で運用されています。
周波数帯
用途に合わせ、適した周波数のRFID装置を構築することが必要です。
一般的に電磁誘導方式であれば135KHz以下から13.56MHzの間、電波方式であれば433MHzから2.45GHzの間が用途に適した周波数帯とされます。
アクセス方式
RFIDは3種類のアクセス方式に分類されます。
「リードオンリー型」は読み取り専用であることが特徴で、特定のデータをリンクさせる用途で使用する場合が多い型です。
一方で「ライトワンス型」では、一度だけデータを書き込むことが可能です。それ以降は読み取り専用のRFタグとなります。
例えば、メーカーが工場へ出荷する際に特定のデータを書き込む際に用いられています。
また、交通系ICカードのように何度もデータの書き込みができる「リードライト型」のICタグもよく利用されます。
読み取り方式
ICタグの読み取り方法は、「タグトークファースト型」と「リーダートークファースト型」の2種類が存在します。
リーダライタから信号を受信した時点でデータを送信する、タグトークファースト型が一般的です。
一方で、送信コマンドを受信した時点で初めてデータを送信する、リーダートークファースト型もあります。ICタグの通信を制御することができ、同一エリアに存在する複数タグの読み取りが容易になります。
RFIDの特徴
RFIDを活用すると複数のタグを一括で読み取れるため、従来のバーコードによる運用と比べると大幅に作業時間を短縮することができます。
また、従来のバーコード運用の場合、距離が離れていると情報を読み取りにくいですが、RFIDの通信距離は数メートルから数十メートルの範囲で正確に情報を読み取れます。
そして、バーコードが汚れていたり、商品が箱の中に入っていると従来の方法だと情報を読み取りにくいですが、RFIDだと正確に情報を取得可能です。
このようにRFIDは従来のバーコードリーダーに比べて、正確性だけではなく利便性も高められます。
RFIDのメリット
RFIDを活用することのメリットは業務効率の向上です。
物流施設での在庫管理や棚卸作業では人的な負担が必要で業務の正確性が保証されていませんでした。
しかし、RFIDの活用により人的負担で補われていた作業を瞬時に、また大量に処理することが可能です。
複数のタグを一気に読み取れる
これまでの在庫管理では大量のバーコードを一つ一つスキャンする必要があり、作業時間や業務の正確性が懸念されていました。
しかしRFIDを活用した場合、複数のデータを一括で読み取れるので、商品入荷や検品、棚卸時に生じる人的負担を削減するだけでなく、精度の高い作業が実現できます。
直接ではなくても読み取れる
バーコードやQRコードは光学的に情報をスキャンする特性上、見えていなければなりません。
RFIDは、電波によって情報をスキャンするため、対象自体が見えている必要はなく、ダンボールなどの箱の中にある状態でも情報を読み取ることができます。
汚れに強い
RFIDは、タグ自体が直接見える必要がなく汚れや衝撃に強いため、経年劣化が少なく長期的に高精度の管理をすることが可能です。
遠い距離でも読み取れる
バーコードやQRコードは個体に表示されたコードを一定距離内で読み取る必要があり、効率性に欠ける面があります。
しかしRFIDでは、方式によって数メートルから数十メートル離れても範囲内の複数データを同時に読み取ることが可能ですので大幅な作業効率の改善が期待できます。
RFIDのデメリット
RFIDの技術は多くの点でメリットがあり、従来のバーコードやQRコードに比べ優れていますが、より普及が進むには課題が挙げられます。
考えられる課題やデメリットを解説します。
導入コストがかかる
RFIDの導入を検討する際の最大の障壁はコストです。
市場では導入の動きが加速する一方、従来のバーコードシステムと比べコストが大きく、小売業や製造業の企業にとってハードルとなります。
運用後の業務効率の改善や、高精度の管理が実現できる可能性を踏まえると有効な設備投資と言えます。
通信環境が必要
RFIDは電波でデータの送受信を行う性質上、電波環境の良い場所が必要です。
特に電波は金属に反射する性質があり、施設内に金属の構造物が多くある場合電波が干渉しないよう配慮が必要です。
つまり、事前に利用環境を想定・検証することが求められます。
RFIDの活用事例
ここでは実際にRFIDを導入・運用した具体的な事例をご紹介致します。
物流管理におけるRFIDの活用事例
物流やロジスティクスの効率化にRFIDは多様なシーンで活用されています。
冷凍食品の物流拠点を担う企業では、拠点と店舗を循環するカゴ車にアクティブタイプのRFIDを導入しました。
導入により、オペレーターの身体的負担なしに短時間での実数把握が可能になり、よりスムーズな出荷業務が実現しました。
小売業でのRFID活用事例
アパレル市場全体を牽引するユニクロは、国内外に展開する約2000店舗全店にICタグの運用を開始しました。
投資規模は数百億円とも目されますが、実際に商品在庫管理の大幅な効率化を実現しており、無人会計システムは既に多くの消費者に浸透しています。
備品管理におけるRFIDの活用事例
整備点検などを行う職場環境では多くの工具を使用しますが、工具の紛失は重大な事故に直結するリスクを含むため厳格な管理が必要です。
そこでRFIDを活用し、工具一つ一つに小型のICタグを取り付けることで誰が、いつ、何を借りているのかが正確に把握できるようになりました。
RFIDの活用事例をもっとご覧になりたい方は、以下のリンクから「導入事例」ページへ。
まとめ
ご紹介してきたように、RFIDは従来のバーコードやQRコードと比べて利便性が高く、物流管理や備品管理など幅広い分野での活用が可能です。
アイデア次第で、さまざまな課題を解決することができ、可能性を秘めたシステムだといえます。
また、経済産業省とコンビニエンスストア5社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズ)は2018年に「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表しています。
これは、2025年までに全ての取扱商品(推計1000億個/年)に電子タグ(RFIDタグ)を貼付することを目指した取り組みです。
これにより、サプライチェーン全体の効率化や賞味期限切れ商品の販売防止、データ分析に基づいた商品開発などが実現できると期待されています。
この実現のために必要となるICタグ・RFタグの低価格化も進んでおり、今後、RFIDの導入は、ますます加速していくでしょう。
なお、株式会社アヴァンザが提供する貸出管理セキュリティキャビネット「CABIMATCH」はオフィス内での大切な「モノ」の管理に有効な管理システムです。
オフィス内には多くの機密情報や、電子機器、鍵などがあり万全の管理体制が必要ですが、人的管理に依存している企業は少なくありません。
情報漏洩などのリスクから守るために、セキュリティ向上と管理業務の効率化は有効なシステムと言えます。
執筆者情報
キャビマッチ運営チーム
キャビネット貸出管理システムCABIMATCHが運営するブログです。キャビマッチに関する情報を更新してまいります。